インフルエンザとワクチンと予防接種

もうすぐ10月も終わりで日中はまだだ過ごしやすいですが、朝晩はかなりり冷え込んできました。今巷で大騒ぎなのはもちろん新型コロナウイルスですが、これからもっと寒くなってくると流行ってくるのがインフルエンザです。

元々コロナウイルスというものは風邪のウイルスの一つですが、“新型”コロナウイルスは、新型ということもありまだまだ分からないことばかりです。どの程度の患者までPCR検査をするべきなのか、どの程度の症状の方が積極的な治療(入院等)が必要なのか、開発されているワクチンを打てば免疫ができるのか、免疫ができればそれは終生なのか等々専門家の間でも意見は様々ではっきりと断定されたものはあまりありません。

ちなみにわたくしは現時点(令和2年10月下旬現在)でのコロナウイルスは“かなり弱毒化しておりインフルエンザウイルスと同程度の脅威のウイルスになってんちゃうん”派です(←これについて批判、糾弾、お小言一切受け付けておりません)。

このような状況なので、できる限りの対策はやっておこう!とマスクや手洗いうがいはもちろん、今年は例年以上にインフルエンザワクチンの予防接種が推奨されております。

インフルエンザのA型、B型、C型

で、まずそのインフルエンザについてですが、まず一口にインフルエンザと言ってもウイルスの型により大きく3種類にわけられます。

A型インフルエンザ

A型インフルエンザウイルスは高熱や、倦怠感、関節痛、呼吸器症状などが他と比べて激しくでるものです。

脳炎、脳症の等の合併症を引き起こすこともあります。           

鳥、豚、馬などにも感染しちゃいます。

B型インフルエンザ

B型インフルエンザウイルスは、A型ほどの高熱は出ないことが多いです。

微熱と倦怠感のみということもしばしばあります。ただし微熱の割にはものすっごくしんどいことが多いです!

下痢や腹痛等の消化器症状を訴える人多数います。

人にしか感染しませんね。

C型インフルエンザ

C型インフルエンザは、いったん免疫を獲得すると終生その免疫が持続すると考えられています。

ほとんどの人が子供の時に罹ります。

ということで大人は感染しにくいということです。

だからもし大人が罹っても免疫があるので軽い風邪症状のみということが多いですね。

インフルエンザワクチン

でそのインフルエンザに抵抗すべく開発されたインフルエンザワクチンですが、これは簡単に言うとウイルスの毒性をなくしたのもの(難しく言うと不活化したもの)で、それを皮下に注射することで病気に罹らず免疫を作るというものです。免疫があれば本物のウイルスが体内に侵入してきたときに戦ってくれるというわけです。

インフルエンザワクチンは注射して数週間で免疫ができあがり、その後約4ヶ月前後効果が持続します。もちろん4ヶ月後にいきなり免疫が消失するわけではなく徐々に減っていくので、流行シーズン(例年12月から2月下旬頃)に効果を発揮してもらうためには12月上旬までにワクチンを接種しておくことがおすすめです。また5ヶ月程度で免疫はなくなるので、昨シーズンにインフルエンザワクチンを打った方も今シーズンには改めてワクチンを接種することが必要です。

ちなみにインフルエンザワクチンはA型とB型の混合ワクチンなのでどのタイプが流行しても対応はしているのですが、そのA型、B型の中にもいくつかのタイプ(香港型とかソ連型とか等)があり、毎年そのシーズンに流行りそうなタイプを予測してワクチンを製造していますので時として予測が外れることもあるわけです。またウイルス自体も常に変異を繰り返しており微妙に型が変わることもありますからその時に打ったワクチンの効力が少ない場合もあります。

ところで誤解されている方も多いのですが、インフルエンザワクチンを打っておきさえすれればそのシーズンはもうインフルエンザには罹患しない・・・というわけではありません。たとえ免疫効果がピーク時でもウイルス暴露の量が多かったり、ウイルスとの接触回数が多い時はやはり罹ります。 ということは予防接種しても意味がないのかと思われるかもしれませんがこれがそうでもありません。ワクチンを打つことで免疫ができ“感染しにくく”、そして“発病しにくく”、さらに“重症化もしにくく”なり、結果死亡率もかなり低下させるのです。

インフルエンザワクチンを打てない人?

インフルエンザワクチンは鶏卵を使って培養し製造するので、卵アレルギーの方はワクチンを打つことができない!というようなこと言う方もいますが、もし卵アレルギーがあったとしても、卵に触れるだけでアナフィラキシーショックを起こすほどの重度なアレルギーでなければ、ほぼ問題なく接種することができます。もちろんこのアレルギー反応にも個人差がありますから接種する場合はよくよく主治医の先生と相談してからが良いのは確かですが。

ということで、当院でもこの10月からインフルエンザワクチンの予防接種を開始しております(まずは65歳以上の高齢者の方。26日からは全年齢対象)。今年は新型コロナウイルスの事もありインフルエンザ予防接種希望者の方多いようなのでご希望の方はお早めにご予約のほどよろしくお願いします。