11月に入って朝晩だいぶ寒くなってきましたし、日中でも風が強いときは結構寒く感じます。このような季節の変わり目や昼夜の寒暖の変化が激しい時期になるとなんとなく増えてくる皮膚疾患があります。
“蕁麻疹”
です。
名前の由来
蕁麻疹は世界中に広く分布する「蕁麻(Urtica)、イラクサ」と呼ばれる草木の葉や茎のトゲに触れると膨隆疹が起こり、この皮膚症状が似ていることから命名されました。
症状
一般的な症状としては、強い痒みを伴って皮膚が赤くなり蚊にさされたような膨隆診が出現します。その後周囲に地図状に広がっていき、通常数十分から数時間以内に消退します。
この蕁麻疹、受診される患者さんは原因としてアレルギーを疑ってこられることが多く、特に食物を疑っていることが多いようです。
「昨日は○○○を食べたんですが・・・それはいつも食べているし、それ以外変なもの食べた覚えないんですけどねぇ~」みたいな感じが多いのですが、よくよく話を聴いていくと食べ物は原因ではなく、結局原因は不明と言うことが多いです(食事を摂取して数十分以内に症状が出た場合はもちろんそれが原因かもと考えます)。
蕁麻疹は多くの場合(70%以上)は原因のはっきりわからない、いわゆる“特発性”ということが多い疾患です。
原因
- 特発性(原因不明)
- アレルギー性
- 非アレルギー性
1.特発性
ストレス?体調不良?疲労?ホルモンのバランス?何らかの内科疾患に関連?)・・・とにかく原因はよーわからん。
2.アレルギー性
食物
小麦、卵、そば粉、さば、海老、カニ、貝類、マンゴー、ナッツ類等など多数
化学物質
化粧品、ヘアスプレー、薬剤、防腐剤、ゴム手袋、揮発性有機化合物、等など多数
日光
血中に光エネルギーを吸収して光産物を作り、それが抗原となってアレルギー反応として発症(ただしアレルギー反応以外のこともあり)
その他
動物の皮膚・毛、昆虫、植物の毒成分等など
!!極論を言うと個人の体質を考えればどんなモノでもアレルギーの原因となりうる!!
3.非アレルギー性
機械性
皮膚描記症ともいわれ、圧迫や摩擦により線状の膨疹が出現。
寒冷/温熱
冷水や寒風、温水や温風などの温度刺激に暴露後に蕁麻疹が出現。
コリン性
運動、入浴、辛い食べ物を摂取等で汗をかいた時や精神的緊張を来した時などに出現。
蕁麻疹類似疾患
血管性浮腫(Quincke浮腫、クインケ浮腫)
蕁麻疹よりも深部の皮下組織で生じた局所性の浮腫で口唇や眼瞼に出現しやすく、遺伝性と後天性のものがあります。後天性の原因は何らかのアレルギー反応やストレス、疲れなども関係しているといわれていますが不明なこと(特発性)が多い。腫れは数時間~数日で消えることが多い。
治療
原因が不明なことも多いですが、まずは発症要因(原因)検索を行いできる限りその因子を除去、回避する。
時間経過とともに消退していくことも多いため、痒みを我慢できるのであれば、そのまま掻かずに耐えて消退していくのを待つということもできないわけではない。
通常は抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服と局所療法として外用薬を塗布(外用薬はかゆみ止めのためで、発症予防の効果はなし)。